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佐藤友哉で「水没ピアノ~鏡創士がひきもどす犯罪~」

北海道出身の作家、ユヤタンこと佐藤友哉の「水没ピアノ~鏡創士がひきもどす犯罪~」を読んだ。
佐藤友哉は講談社ノベルスから本を出している人だ。講談社ノベルスとは新書サイズの小説です。上下二段組の形式で文字が並んでいる。なので同じページ数でも普通の小説より遥かにボリュームがある。西尾維新や京極夏彦あたりの新進気鋭の作家たちがこぞって講談社ノベルスから出版している。本屋で講談社ノベルスの棚を見るとなんだか異様なオーラーが出ているように感じる。
僕がよく読む小説のジャンルは岩波や新潮から出版されている外国文学が多い。本来ならライトノベルは趣味ではないのだけど、僕が密かに憧れている、とある先輩が佐藤友哉を大絶賛しているらしいので今回読んでみた。

この物語は三つの物語から構成されている。三つの異なる独立した物語がある。
一つ目は携帯電話にシールを貼るという無機的なアルバイトをして地味な生活をしている若者の物語。若くして生きることに怠惰的で出会い系の女の子とのメールを唯一の楽しみとしている情けない男の物語。
二つ目は異常な家族の物語。人体実験によって脳が崩壊した女性が自分の家族を家に監禁するという狂った話。
三つ目は小学生の男の子と女の子の話。大人に比べると体力もないし知識も足りない子供は不可抗力のように傷つく。心無い大人から癒すことのできない致命的な傷を負う。それを男の子は「奴」と呼ぶ。「奴」から大切なカヤコを守るために命を懸ける男の子の物語。

最初は別々の物語なのだが後半になるにつれそれぞれの物語は互いにリンクしていく。最後の結末を読むまでは、文学チックな内容だったのだけど最後には読者を驚かせる仕掛けがされている。良くも悪くもこの意外な展開によってミステリというジャンルに自ら向かっているように思える。読み返してみれば物語の冒頭から複線がいくつも張られているからどう考えてもミステリなんだけど。
文学としても成立している。僕が読んでいて心地よかったのはフリーターの青年の物語だ。部屋に閉じこもって出会い系の女子高生と夜な夜なメールをしたりバイトをサボったりする一見どうでもいいシーンをネチネチと何ページにも渡って描いているとこが好きだ。
鏡創士と札幌に買い物に行ったり居酒屋で口論のように愛だ恋だ語る描写は読んでいてグッと来るものがあった。

この物語には中村一義の音楽が重要な役割を果たしている。水没ピアノを読んでから中村一義のアルバム「太陽」を聴いた。かなり感動した。多分水没ピアノを読む前に太陽を聞いても何も感じなかったと思う。
ただ一ミリも救いのない水没ピアノを読んでから聴くとなんともやるせないです。太陽に収録されている「いつも二人で」という曲。
「過ぎる今が想い出なら、いつも二人でいれるように」
という歌詞がある。
水没ピアノは暗い話だ。救いは一つも用意されてないし重要な登場人物があっけなく殺されたりする狂った話。こんな絶望の物語と中村一義のピュアな音楽はなぜかとっても似合っている。

追記、中村一義は和製ベックとよばれているらしい。

水没ピアノ

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