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ラディゲで「肉体の悪魔」

僕にとってフランス文学といえばラディゲの「肉体の悪魔」です。

この小説はラディゲが十六歳から十八歳の間に描かれた小説です。
不世出のヒトながら、腸チフスにかかり若干二十歳で死んでしまいました。
もし、生きていたら現在102歳ですね。

この話は、少年と年上の人妻(マルト)の悲劇的な恋愛模様を無機的な文体で淡々と綴っています。

僕が好きな箇所は、少年のエゴから病身のマルトをホテルへと(一夜を共にするため)連れ出す場面です。

しかし、

少年はまだガキなのでホテルの部屋を取る段取りができないんです。実際ホテルのロビーまで入っていても挙動不審になりボーイに向かって「ラコンブ婦人は泊まってらっしゃるだろうか」と訳の解らないことを口走る始末。

そしてホテルの外で待っているマルトに「部屋がないみたい」と嘘をつくんです。

あてどなくホテルを目指し長い時間さまよい歩く。
その日の記録的な寒さも手伝ってマルトは痙攣しはじめる。
結局、ホテルをあきらめる。
「今日はおとなしく帰ろう」なんて澄ましたことを言う。
そんな不甲斐ない少年を見てマルトは「あなたって意地悪ね」とボソッと言う。
そしたら少年はいきなりマルトに接吻をして「僕を捨てるって繰り返し言ってごらん」と狂人の様な事を言う。
哀れなマルトは少年を喜ばすためにひたすらこの言葉を繰り返す。


というような憐れな描写があるんですがこれがとても印象的です。

ホテルの受付で何にも出来なくなってしまう少年の姿は、大人のテリトリーに入っていく際に肌で感じる空気と自分自身の不完全さを否応無く露呈される感じが表現されているように思います。そしてそのテリトリーに怖気づいた自分へのフラストレーションを愛してくれている存在に対しぶつける態度はまるで子供だ。
サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」にもホールデンがバーに行くが未成年であることを見抜かれお酒が飲めなくて憤慨する場面があったと思うけど、これも僕の中で同じ感じがします。
なんか虚しくなるんですよね。(僕自身はもう22歳ですが、今でも便宜的な大人と接するときには上に書いたような「感じ」が付き纏うんです。コレは何なんでしょうか。モラトリアムではないと思うのですが)

「肉体の悪魔」は強烈なエゴイズムが描かれていると評されているけど単なるガキのわがままじゃないのかなぁ。本当にマルトを想っていたら年齢に関係なく自分への保身には走らないと思います。愛とは自己犠牲ですからね(笑)

しかし、ラディゲの文章はお堅いですね。



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