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アガサ・クリスティーで「そして誰もいなくなった」

そして誰もいなくなった今日の記事はネタバレありで(やん)す。あしからず…

書店で偶然見つけた「そして誰もいなくなった」の文庫の表紙があまりにも美しかったのでつい買ってしまった。左の画像では解からないかもしれないがこの表紙は写真ではなく絵だ。下方の波の泡の部分に注目すれば解かると思う。凄く惹かれる絵だと思いませんか。僕はかなり好きだ。

「そして誰もいなくなった」は前々から興味があった。以前読んだ東野圭吾の小説「ある閉ざされた雪の山荘で」の作中にはクリスティーの「そして誰もいなくなった」が効果的に紹介されている。「ある閉ざされた雪の山荘で」というタイトルからも容易に想像できるがこの話は外界との連絡が完璧に閉ざされた山荘で殺人事件が起こるというものだ。「そして誰もいなくなった」は外界との連絡が断ち切れた場所で殺人事件が起こる(「クローズド・サークル」と言うらしい)というジャンルのパイオニア的作品である。

それぞれ異なる事情で、とある孤島に集まった11人は、巧妙な手口により島から出られなくなる。閉ざされた孤島で殺人事件が次々と起こる。タイトルからも解かるように最終的にその閉ざされた孤島から誰もいなくなる。11人全員が死ぬ(いなくなる)のだ。この小説の最大の謎だ。この最大の謎の魅力は「そして誰もいなくなった」という(ちょっと秀逸過ぎる)タイトルに凝縮されている。2~3年前に流行った新書「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」と同じくらい秀逸だ。

ただこういう興味深いタイトルはことの真相を知った時にがっかりするものだ。実際「さおだけ屋~」の場合、謎が気になり読んだががっかりした覚えがある。だって「さおだけ屋~」の謎の答えは簡単に言えば「副業だから潰れない」だ。随分現実的であっさりした答えではないか。副業ってことは、本業が潰れたら副業(さおだけ屋)も自ずと潰れるし。これじゃ、謎というより「なぞなぞ」だ。ちなみに、さおだけ屋のカラクリを業界風に言えば「バーター」だ。知名度の無いタレントが人気番組に出演できるのはその事務所の人気者が居るからなわけだが、その人気者(本業)が潰れればバータータレント(副業)も自ずと潰れる。例えが間違ってる気もするが…。

その反面「そして誰もいなくなった」は全くがっかりしなかった。外界とシャット・アウトされた孤島で殺人が次々起き殺されていく。最初は11人いた人間もあっさりと殺され5人、4人、3人と人数はどんどん減っていく。残された人々の中に犯人が絶対的にいるという状況にヒステリックになる人々がリアルに描写されている。疑心暗鬼になり残された人々は(ミステリではお決まりのパターンだが)常に集団行動をとる。しかし殺人は止まらない。結果その孤島には「誰もいなくなった」となる。

この小説の紙数は363ページある。構成としては、

本編:330ページまで
エピローグ:P331~346
漁船からの告白書:P347~363

となっている。
僕が一番感心したのはこの構成だ。「そして誰もいなくなった」の謎は本編では解明されない。孤島にいる11人のなかにシャーロック・ホームズや明智小五郎のような名探偵はいないから誰も頭脳明晰な推理は展開しないしまた出来ない。11人は恐怖におびえ一人ずつ殺され最終的には誰も居なくなる。11人が皆死んだ時点で本編はあっさりと幕を閉じるのだ。本編を読み終えた僕は戸惑った。だって謎解きが成されないまま残りのページは僅か30ページだもの。

エピローグは、数日後警察がその孤島に足を踏み入れ、11人の死亡を確認し全ての調べが終わった後の警部ふたり(メイン警部とレッグ卿)の会話だ。死亡時間や凶器、11人の経歴など様々な可能性を考慮して事件の真相を議論する内容だ。しかし結局謎はわからないまま、エピローグは終わる。

謎解きが一切行われないまま残りページは、「漁船からの告白書」の6ページのみだ。たがか6ページされど6ページである。この6ページで全ての謎はすっきりと解ける。最近のミステリはアンフェアなトリックがあるが「そして誰もいなくなった」はまったくのフェアだ。まぁ、謎の真相事態はそれほど大したものではない。「驚愕の真実」なんかでは全然無い。トリック自体は青山剛昌の「名探偵コナン」の方が緻密だ。しかし素晴らしいのは構成でしょう。ラストまで謎を明らかにせず、最後の最後に誰もを納得させる答えを僅かな紙数(6ページ)で書くのは凄い。感嘆した。

付記
ネタバレあり、と冒頭に書きながらクリスティーの「そして誰もいなくなった」ではなく「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」のネタバレになってしまった。


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