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岡村靖幸で「禁じられた生きがい」 全曲解説

1.あばれ太鼓 ★★★
岡村靖幸のオリジナルアルバムにおいて唯一のインスト。リズムを刻んだような扇情的なボイスパーカッションに自らの演奏と思われるギターがキャッチーなリフをかき鳴らしている。臨場感のある気迫のこもった演奏をベースに、和のテイストが感じられる和太鼓やホイッスルの音が効果的に使用されている。終盤になるにつれ曲調がやや変わり「ハァーハァー」というまったりとしたコーラスが絡み趣がけだるくなる。最後は笛が「ピッピー」と鳴り実質1曲目の「青年14歳」へ。

2.青年14歳 ★★★★★
「あばれ太鼓」からのメドレーではじまる実質1曲目の「青年14歳」。初っ端からカオスな楽曲だ。ドスの利いたサクソフォンに、ドスの利いたボーカル。密度が異様に高く圧縮されたような怒涛のリズムセクション。あらゆるアイデアを一曲に半ば無理やり詰め込んだような、豪華絢爛なアレンジメント。テンションは極限まで張り詰めており、この1曲だけで既にお腹一杯になるほどだ。「禁じられた生きがい」の特徴のひとつでもあるが歌詞が支離滅裂だ。歌詞カードがなければ殆ど聴き取れないだろう。歌詞の意味よりも言葉の持つ語感を大切にしたのか、あるいは岡村靖幸なりにメッセージが込められているのか、聴き手には判断がつかない。しかし、意味不明な歌詞と独特なメロディーラインは不思議なことに有機的に交じり合い、リズム楽器の一部と化したボーカルとして気持ちよく響いている。こんな曲、岡村靖幸以外には作れないだろう。ちなみに、スガシカオは「青年14歳」を絶賛している。

3.クロロフィル・ラヴ ★★★
地面から3ミリほど浮いているような錯覚に陥るほど浮遊感が漂う不思議な曲。立体感のあるサウンドと本アルバムにおいて最も支離滅裂と思われる歌詞が融合している。どこに向かおうとしているのか、方向性が定まっていない印象を受ける。正直、よくわからない曲だ…こんなこと言ったら身も蓋もないか。

4.ターザン・ボーイ ★★★★★
ややロック調のハートフルなミディアムナンバー。4曲目にしてやっと一般受けしそうな曲。AメロがあってBメロがあってサビにはキャッチーなメロディが用意されている。アレンジはあっさりしており技巧をひけらかすような小難しさはない。歌詞もわかりやすい。少年時代のノスタルジックな風景を回想している。そしてサビの終わりで歌われる「君のためにライオンと戦える男でいたい」という歌詞は個人的に本アルバムのなかで最も傑作な名フレーズだと信じて疑わない。男なら誰もが一度は思うであろう感情を実に簡潔且つ的確な言葉で表現しているように思う。

5.妻になってよ ★★★
エコーが強めにかかったヴォーカルが幻想的なスローバラード。臨場感のあるストリングスを背景に流麗な旋律を辿る甘美なファルセットが圧倒的。曲やアレンジメントは洗練されており他を寄せ付けない厳粛さに満ちているのだが、歌詞がちょっと変というか道理に反しているというか…。冒頭の歌詞が「20代のまんなかじゃ 手軽な恋が出来ない 妻になってよ 別れたわかったんだ」。妻になって欲しい理由が「君と別れてみたものの、手軽な恋が出来ないから」なのか。根本的に考え方が間違ってるような。そう考えてみるとタイトルの「妻になってよ」からして心持可笑しい。妻って。

6.パラシュート☆ガール ★★★★
岡村靖幸の真骨頂である学園生活を舞台にした王道青春ソング。子供の可愛らしい「スリ フォー」のカウントからはじまるポップなイントロ。曲調はメジャーで元気一杯な曲なのだが扱っている題材は「登校拒否」について。歌詞の概要は、天真爛漫でガッツポーズしたりする元気な女の子が突然学校に来なくなる。その女の子に向かい「君の弁当食べなきゃ部活でも頑張れない」「みんなエンジンかけろあの娘を探せカムバックベイベー」と言い励ます。しかしその女の子(CHARA)に「馬鹿な勉強できない子はあてにしない」と相手にしてもらえない。それでもめげずに励ましの言葉を送り続ける健気な岡村ちゃん、といった感じの青春の歌。岡村靖幸が登校拒否の女の子を勇気づけるというシチュエーションが微笑ましい。岡村靖幸は青春ソングが多いが中でもこの曲は秀逸だ。

7.どぉしたらいいんだろう ★★★
「(E)na 」のPVに使用された音源を発展させカラフルに肉付したファンクナンバー。相変らず支離滅裂な歌詞が続いている。リズミカルなメロディの前後に律儀に配された歪んだエレキのリフがやけに耳に残る。東南アジアあたりの蛇使いが奏でるような間奏があったりと、カオスタイムも健在。曲の終盤には3thアルバム「靖幸」に収録されている「Punch↑」から冒頭の台詞(「天才かもしれないけど絶対友達には~」)を流用していたり、4thアルバム「家庭教師」のオープニングナンバーに呼応したかのようなタイトルだったり。岡村靖幸の曲をある程度把握している人が聴けば一聴しただけでクロスオーバー的な〝遊び〟が施されていることに気づくだろう。

8.Peach X'mas ★★★
NHKで放送されたクリスマススペシャル番組のために作られたバラード。岡村靖幸の全楽曲においてこれほどまでに明確な季節ものの歌は「Peach X'mas」だけだろう。NHKに感謝したい。多くのクリスマスソングにおいて様式化されている、鐘や鈴の音、ゴスペル風のコーラス、12月月下旬の賑やかに華やいだ街の風景を描いた歌詞、がクリスマスムードを演出している。しかし、そこら辺の当たり障りのないクリスマスソングとは違う。オケだけ聴けば正当な王道クリスマスソングだが、詩の内容は個人的な思いのたけが歌われている。いわゆる岡村ちゃん節だ。「来年の作戦考えようぜ」という屈指の名フレーズは年末になると岡村ファンの間で交わされる言葉でもある。

9.チャーム ポイント ★★★★
疾走感溢れるビートが小気味の良いハードナンバー。全力疾走で駆け抜けていくように直進して行ったかと思えば急にゆっくりとメロウに転調したりと、何かと忙しい展開が繰り広げられる曲。テンポは速いがリズムセクションにしっかりとした安定感があり乱調になっていない。歌詞は90年代前半の風潮への懐疑的な当惑に満ちており、いろんな問題を自分の中で必要以上に複雑にこじらせている印象を受ける。月刊カドカワのインタビューで「チャームポイントはめちゃくちゃ自信作」と話したことからも「禁じられた生きがい」において岡村靖幸が最も表現し、伝えたかった想いを具現化した曲といえよう。

総評★★★★
前作「家庭教師」から5年の歳月を経た95年にリリースされた5thアルバム「禁じられた生きがい」。87年のデビューからコンスタントにアルバムをリリースし、円滑に首尾よく音楽活動を行ってきた岡村靖幸だが、「禁じられた生きがい」以降はすっかり「寡作の人」というイメージが定着してしまうことになる。
前作が傑作だったため、過小評価されがちな作品だが、曲ひとつひとつは佳作揃いだ。特に「青年14歳」は群を抜いて圧巻だ。岡村靖幸は作詞作曲、アレンジ、プロデュースを自ら行い、いくつかの楽器は自ら演奏している。音楽を製作する上で、全ての工程を自らがきっちりと自己管理しているからこそ、岡村靖幸ならではの独自の音楽世界が成立している。「青年14歳」はその〝独自の音楽世界〟のなかでも一際濃い空間で誕生した曲のような印象を受ける。マニアックでカオスなベクトルの最果てで誕生した曲のように思う。「青年14歳」が収録されているという一点だけで「禁じられた生きがい」は傑作といっても決して大袈裟ではないくらいだ。
歌詞については、内容が明快な曲(4,8)もあれば、尋常ではないほど支離滅裂な曲(2,3,7)もある。本作から9年後にリリースされる「Me-imi」では殆どの楽曲の歌詞が支離滅裂になるので、そういう意味では、過渡期といえよう。それに対しサウンド面ではDATE~家庭教師までの流れを汲んだ最後の作品である。「Me-imi」のサウンドは、DATE~家庭教師の延長線上ではなく新境地を開拓したサウンドだ。そういった意味でも「禁じられた生きがい」は重要な位置に存在している作品だ。
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