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岡村靖幸で「早熟」 全曲解説

Peach Time★★★★
キャッチーなんてもんじゃねーぞ、ってくらいキャッチーなアイキャッチ風イントロからはじまるピーチタイムは3分程度の短い曲だが強烈なインパクトを有した名曲。終始、突き抜けた陽気さに満ちており、アトラクションのようなワクワク感が味わえるサウンドは病みつきになること受けあい。言葉の乗せ方は桑田佳祐並にユニークであり、一見、意味不明な歌詞も実際に歌ってみると歯切れのよいメロディの乗せ方になっている。特に「姉貴が言うにゃ食事はニューオリンズ」のフレーズは何回歌っても楽しくなれるし、飽きない。こんなに素敵で小気味の良い韻を踏んだメロディはそうはないだろう。そして、それを上回るほどの名フレーズはサビの「なんでぼくらが生まれたのか ぜったいきっと 女の子なら知ってる」。恐れ入るほどの、岡村ちゃん節である。哲学なのかオフザケなのか。浅いのか深い歌詞なのか。まったく検討の仕様のない歌詞だ。しかし、得体の知れない勇気がみなぎってくるから不思議だ。ネガティヴな気持ちの時に聴くと――絶対きっと――気分が晴れるだろう。それにしても、「生まれてきた理由を女の子なら知ってる」って、岡村靖幸にとって女の子とは何なのだろうか。どれほど高みに存在しているのだろうか。生まれてきた理由を知っているだなんて、まるで神様である。

Dog Days★★★★★
焦燥感を煽るような刹那的なアコースティックギターが終始鳴っており、どこか現実離れした世界観が広がるサウンドが幻想的。タイトルの「Dog Days」とは盛夏(夏のもっとも熱い時期)という意味であり、故にサマーソングである。夏の暑い日に歴史に残る勇気を振り絞って告白するもあっさりフラれ、お前のせいで俺は堕落してしまうぜベイベー、といった内容の青春の歌である。盛夏と青春が見事にマッチしていて、聴いているとジリジリと暑い夏の記憶が思い起こされるようだ。また、岡村靖幸の楽曲のなかでも上位に位置するほど歌詞が秀逸だ。特に「液体状の夕焼け 流れ落ちてきてる 僕のベッドに」なんて歌詞は優れている。聴き手の脳内にまるで印象派の絵画のように風景を思い描かせる絶妙な歌詞だと思う。ちなみにサビの「お前のせいだぜ」という歌詞のモチーフは吉川晃司らしい。また、「友人のふり」や「ライオンハート」の歌詞に出てくる「アイツ」というのも吉川晃司らしい。どうやら、岡村靖幸は吉川晃司を恋敵に想定するといい歌詞(主に情けない片思いを題材にした歌詞)が浮かんでくるようだ。

シャイニング(君がスキだよ)★★★
爽やかなエレキのリフと力強いドラムが印象的な屈託のないロックンロールナンバー。真っ直ぐでロック調なサウンドとポジティブで初々しく健全な歌詞が、逆に気持ち悪い。なんか万人受けしそうで怖い。やっぱり、岡村靖幸は「家庭教師」や「どんなことして欲しいのぼくに」みたいに変態な曲の方がしっくりくる。気持ち悪いエロ系の「語り」があってこそ岡村靖幸なのだ。そういう意味で「シャイニング(君がスキだよ) 」は平凡だ。「君の夢なら そうさ すべてを叶えてあげたい」なんて歌詞はジャニーズに歌わせておけばよいではないか。「シャイニング(君がスキだよ) 」は、大衆性は高いがそれ故に、岡村作品においては異色作といえるかもしれない。

Lion Heart(ハリウッド・ヴァージョン)★★★
セカンドアルバム「DATE」に収録されている「Lion Heart」のリアレンジ。その名も「ハリウッド・ヴァージョン」。なぜハリウッドなのかは聴けばすぐに理解できる。とにかく音飾が派手で華やかで豪華なのだ。初っ端から押し付けがましいほどのストリングスが展開されている。しかし押し付けがましいのは最初だけで、間奏のアレンジはこちらの方が合っているように思う。
曲調は詩先風のメロディによるバラード。言葉の乗せ方がいかにも五線譜のおたまじゃくしを辿っているかのような印象を受ける。肝心の歌詞は「実はさ この僕も あの日から 傘さえも ひらけない」という非常にメタフォリカルあるいは独善的な内容となっている。スマップの「Lion Heart」と同じタイトルだが全く関係ない。

Peach Time(修学旅行ミックス)★★
「Peach Time」のリミックス。一応ボーカル付きだが所々インストになっている。遊び心満載のアレンジが施されており、楽しい。最後の方は「だいすき」「アウトオブブルー」など、いろんな曲が次々にまるでフラッシュバックのように挿入されており、ベストアルバムのラストに相応しい出来となっている。個人的には全く聴かない曲である。

総評★★★★
デビューから僅か3年。それまでにリリースしたアルバムはたったの2枚。このような浅いキャリアでもってリリースされたベストアルバム「早熟」にはオリジナルアルバム未収録の上記5曲が収録されている。「Peach Time」は岡村靖幸を象徴する重要な曲であり、「Dog Days」は岡村靖幸の初期に発表された曲のなかでは屈指の名曲である。13曲中5曲が「早熟」でしか聴けない曲なので、ベストアルバムにしては良心的なリストといえる。
「早熟」というタイトルは、岡村靖幸が命名したものではなくスタッフが考えたらしい。そのスタッフ曰く「早熟」の意味は主に二つあるとのこと。ひとつ目は、3枚目にしてベストアルバムというのは異例の早さであるという意味での早熟。ふたつ目は、ゴッホやゴーギャンなど死後になってから評価される作品があるように、岡村靖幸の音楽も30年後40年後50年後に真に評価される音楽である。そういった意味では、現在(80年代後半)岡村靖幸の音楽をリアルタイムで好んで聴いている人の感覚は先端的であるという意味での早熟。つまり岡村靖幸の音楽とそれを応援するファンは早熟であるという二つの意味が在るのそうだ。確かにこれほどまでにクオリティの高い曲を世に発表しているのに(一部では熱心に評価されているものの)メジャーになりきれない岡村靖幸は早熟なのかもしれない。

「早熟」に収録されている他の曲の解説はこちらから。
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Comments

はじめまして。
岡村ちゃんネタを検索してたらたまたまここに辿り着きました。
管理人さんはファン歴短いそうですが、レビューなどを読んでいるとすごく的確に観察・分析されていて、とても興味深く読み応えありました。
私は靖幸ファン歴20年近いのですが、もう好きすぎてある意味、盲信的なところがあると自覚しているので・・・
また遊びにこさせてもらいますね~☆
Posted at 2008.05.02 (11:21) by 靖幸にBEDでのラブソング (URL) | [編集]
コメントありがとうございます。
ファン歴20年って凄いですね。ということは、「家庭教師」や「靖幸」の頃の神々しいまでに輝いていた岡村ちゃんをリアルタイムで応援していたんですか。羨ましいです。しかも、今でも、盲目的なまでに好きだなんて、素敵ですね。

岡村ちゃんの記事はたくさんあるので、お暇な時にでも読んでいただければ嬉しいです。
Posted at 2008.05.03 (00:19) by yuji (URL) | [編集]
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