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ロッキングオンジャパン 2004年5月号 その2

タイトル通りロッキングオンジャパン、2004年5月号に
掲載された岡村靖幸のインタビュー文字起こし、その2。その1はここ


インタヴュー=鹿野淳

●いや、岡村さんの言うとおり。世の中で沸き起こっていたことを、岡村さんは歌にしたわけだよね。それは、当たり前のことであるにもかかわらず、画期的なことだったわけじゃない?
「なぜ画期的になってしまったのかがよく分からないけども。例えば今だったら、俺よく話してるけど、幼児虐待のこととかについてよく考えるし。昨日とかもあったじゃん。知ってる?」
●そう。岡村さんの音楽はまだまだやらなくちゃいけないことがいっぱいあるんだよ。何も変わっちゃいないから。どんどん表層に醜いことが溢れて来る。お母さんがチンポコ切っちゃうんだもん、子供の。そんなのさ、希望を切り落とすショックはとんでもない。
「そうだね。だから俺が不思議なのは、俺がやることっていうよりも、他の人がなんで歌わないのかと思ったりするけどね。だって日々感じてるはずですよ。見る人が見てね。」
●それは矢面に立つから。で、メッセージがあまりにもダイレクトだから。表現するには勇気がいるから。
「そうかな?」
●岡村さんはそれを直視しよう、そこからしかロマンは生まれないんだっていう気持ちがあるから歌にするんだと思う。
「あのね、よく分かんないけど、全部がつながっているような気がして。例えば少女売春のことにしろ、幼児虐待のことにしろ、子供ってのは恋愛の先に生まれてきたものだし、少女の売春ってのも一種こうね、まあセックスの行為だし。まあ嘘の恋愛だけども恋愛みたいなこともあるし。日々の恋愛にしろ、日々の生活にしろ全部つながっているような気がする。そこを、切り離して、自分の彼女を大事にしようとか、自分らしい生き方をしたい、こんな世の中だけども、みたいなことっていうのは全部つながっているから、だから………例えばあなたの生活を考えると分かるんだけど、あなたには子供がいて、あなたの子供っていうのは恋愛の先に出てきたものだから、恋愛の物語の第何章かめに出てくることなんですよ。だから恋愛の歌を歌ってたら自然に子供のことが出てくるわけですよ。例えば子供がいる親だったらテレビ見て幼児虐待があまりにも多いと、自然にそのことについて考えるはずだし。そんな奇異なことじゃなく。だから別にテレビで起きていることはそれはそれで、それとは別に自分の生活があってていう考え方ももちろんそれはひとつの、井上陽水の〝傘がない〟じゃないけども、ひとつの考え方としてあるんだけども………」 
●裏を返せばね、そうやって「なんで俺だけが?」っていうようなことを岡村さんは歌ってるわけよ。音楽は日常か、否か、とか。そこにあるニュースとは違うものこそが音楽という考え方もある。何も考えてない音楽もある。
「違うよ。『なんで俺だけが?』っていうことは結果的にそうなってしまっただけであって、他の人たちが歌ってくれれば普通にポピュラリティのあることとして広がることだよ。他の人たちも一緒に歌ってくれないから、ひとりだけ浮いちゃってるけども、今は」
●それはそうかもしんないけども、愛からつながっていく物語のわずらわしさ、そのわずらわしさの先にある本物の愛みたいなことを岡村さんだけが歌ってるから、それをキャッチしてる人間が岡村さんの音楽をすごくディープに愛してるってのもあるんだよ。
「まあ、そうかもしんないけど、それ以前になんで他の人は歌わないんだろう。ほんっとに分からないね。全く―――まあちゃんと考えてみないといけないのかもしれないけど」
●ぶっちゃけて言うと、岡村さんほど愛というものを手に入れられないっていうことの狂おしさを良くも悪くも実感できていないんだと思う。そこそこのものなら手に入れられるから。
「ああ………俺は子供を産まなくなったって歌を歌ったことがあるんだけど、でももしね、少子化のこととか今の幼児虐待のことを自分のこととして捉えないんだったらそいつは気狂いだよ。個人的に言わしてもらうけど」
●何で?
「当たり前だよ。全部つながってんだよ、だから。あれ他人事―――あなたも俺に言ってたじゃん。虐待と愛情はほんとに皮一枚だっていってたじゃない、親なんてものは。その時々の状況の中では私的感情で殴ることもあるだろうし、実は皮一枚ですべてはつながっていて恐い、みたいなこと言ってたじゃない?俺もほんとそう思うしさ。あれはあれ、これはこれみたいに捉えてるとしたら、あまりにも無知なんじゃないかしら。それもさ、たまにしか起きないんだったらいいよ?今異常に起きてるよ幼児虐待にしろ何にしろさ。それを他人事として捉えるのってのは、どうなんだろう?」
●その通り。けど違う。岡村さんは気付いてないんだけど、あなたの音楽は非常に勇気がいるものを歌ってるの。
「あ、そう」
●うん。少子化に対してものを言っていく、幼児虐待に対して意見を言っていく―――岡村さんの歌は意見だからね。意見を言っていくことはものすごく勇気のいることだよ。あなたは歌ってることを本気で変えたいと思っているし、文句を言ってるからだよ。なぜなら本気で愛を求めているから。で、みんな感じてはいるんだけど―――どこだってそうじゃん、学校からさ、社会からさ、みんな矢面に立たないじゃん。だから矢面に立つひとはみんなそれぞれしんどい思いをしてるよ。で、その人は何かを掴むかもしれないし、成功を掴むかもしれない。でも、成功ってのは全然ラクなもんじゃなくて、ものすごくしんどいもので。で、その人の人生の中ですごく感動的なものなのかもしれないけど、勇気がいることだよね。それは橋を渡ったってことじゃん。だからあなたは自分の音楽を作ることで橋を渡ってるんですよ。
「うーん……」
●なかなか渡れないって。音楽の才能を持ってるだけで橋なんて渡れないよ、みんな。岡村さんはそれをやってるのよ。だからあなたの音楽に対して僕はこれだけしつこくジャーナリズムを突きつけてると思うし、聴いてる人はあなたの音楽から離れられないのよ。
「うーん…不思議だなあ。何でみんな歌わないんだろう?」
●でも岡村さんはそういうことを歌っていくことによってしんどくなってきたこともあったわけじゃない?
「うん、もちろんね。そうだね」
●それによって作品を出せなくなった、隠遁してしまったってこともあったわけじゃない?それは傷ついたからでしょ?
「…………そうね」
●岡村さんを傷つけたのは岡村さんの音楽だよ。
「そうね。そうかもしんないね、うーん、そうかなあ、そうかもしんない…………いやそれは結果論であってさ。俺からすると、とても自然なことなんだよね、音楽にすることも傷つくことも」
●いろいろ分かりました。で、岡村さんは5月19日にシングルを出すわけですよね?
「そうなんですか?まったく分かってません」
●出します(笑)で、こっからアルバムに向けて、今は音楽活動をたくさんされているわけですか。
「そうなのかな?分かりません。してるような気もするけど。スタッフに聞いたほうがいいんじゃないかしら」
●OK。じゃあもういいや。
「はははははは!」
●楽しみにしてるよ。で、新曲が出てきたのはすごくよかったよ。
「ほんとですか?」
●はい。だって今日話したような世界の下にあるのはさ、俺は、そこにはクソのような音楽が撒き散らされていることも起因してると思うよ。
「そうかな?」
●例えばアメリカでヒップホップがすごく流行ったよね。この何年間かでメジャー化してきて。ヒップホップの中にはものすごくさげすまれた人生、そして黒人としての生き方をどんどん正直に暴いていった状況があったよね。それによって「自分だけじゃないんだ」って思う人が増えた結果、自殺が減ったんだ。
「そうなんだ」
●ヒップホップの成功によって黒人社会のマフィアのような抗争も大きくなっていったけど、そこで死んでいった数よりもとどまった自殺の方が大きくなったんだよ。音楽的にも画期的なリズム・ミュージックが生まれた。そういう意味で言ったら、この国には何も考えない無頓着で麻痺したクソのような音楽がたくさんまかり通ってるっていうことが僕は起因していると思う。答えはひとつじゃないんだ。なのにそれを心も大して動かさずに安易な共有を促す音楽。結果的に何にも変えてくれない音楽もどきも何かを殺していると思う。麻痺させていると思う。
「うん、そうだね…」
●だからあなたはいっぱい「音楽」を作っていってくださいよ。
「はい。分かりました。頑張ります。いろいろ本当にありがとうございました」

                                                        
                                                        終わり

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Comments

鹿野さん!
またまたこんにちは。
satです。

このインタビュー、鹿野さんもかなり熱いですね~
インタビュアーがこんなに主張しちゃっていいんですかね。
でも岡村ちゃんのこと、たぶん個人としてもアーティストとしても
よく理解してるんだろうと思います。
岡村靖幸のファンとしては、
やはりこの「愛の希求」が彼の音楽の中心だと思いますね。
しかし、20年間変わらずに愛を求め続けるというのは
考えようによっては、
痛々しいところもあるかな・・・

ミイミのアルバムの曲とか、
昔みたいに特定のガールフレンドのこと歌ったりするものがないかわりに、
なんか家族のような普遍的な愛への希求が見て取れて、
私は(3児の母として)とても切なくなりますね。


Posted at 2008.05.21 (04:06) by sat (URL) | [編集]
毎度コメントありがとうございます。
鹿野さん、熱いですね。他のミュージシャンにインタビューする時は冷静で割と大人しくしているんですけど(ま、インタビュアーは大人しいものですけど)、岡村ちゃんの時は言葉数が多いですね。岡村ちゃんの主張を否定してますし(笑)。真剣に向かい合っている姿勢に好感が持てます。

確かに!どの歌も根本にあるには「愛の希求」ですね。
鹿野さんは「岡村さんはそこそこの愛なら直ぐに手に入れられる」って言ってるけど、それすらも難しい様な気がします。そこそこの愛すらも得られないからこそ今の岡村靖幸があるような気がして…切ない人ですよね。早く、普遍的な愛を手に入れられればいいのですけどねぇ。
Posted at 2008.05.22 (00:22) by yuji (URL) | [編集]
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