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鹿野さんと岡村靖幸

ロッキングオン、2004年5月号に掲載された岡村靖幸のインタビューの感想を。
せっせと文字起こしをしながら、改めてじっくりと読み返してみると、このインタビューはなかなか感慨深いものがある。インタビューに入る前に添えられた鹿野さんのテンションの高い文章からも伺えるが、鹿野さんは岡村靖幸の本格的な復活に興奮している。「子供のようにはしゃいでいる」という形容がしっくり来るほど岡村ちゃんの復活を心から喜んでいる。

この〝はしゃぎっぷり〟は、今読むとちょっと痛々しいものがある。ロッキングオンの連載「やすゆきチャンの行けるかな?一人旅」で岡村ちゃんと1年半もの間、日本全国津々浦々旅をしたほど親しい仲なのに。これだけ熱い本気のジャーナリズムを長年に渡り突きつけて来たのに。結局、鹿野さんの想いは報われなかったのだから。先日の裁判で「友達とうまくやれない、というか友達がいない」と詩を読んだ岡村靖幸。鹿野さんは友達じゃないのか。

インタビューの冒頭で「タイトルは『おかえりなさいやすゆきちゃん!』に決まってるんですよ」と嬉々として鹿野さんは言う。それに対して岡村ちゃんは「ああ、そうですか。何だろうなぁ。どっからおかえりなさいかちょっと分かんないけど……まだ分かんないって。分からないもん、やってみないと。俺は何もないからね、今は」と答える。このインタビューのなかで個人的に最も印象に残った言葉だ。

「どっからおかえりなさいかちょっと分かんないけど……まだ分かんないって。分からないもん、やってみないと。」

ホントどこから、お帰りなさいなんだろう?分からない。2004年よりも今の方がさらに分からない状態になっているが…。5月8日の判決で懲役2年を求刑されたから、2010年5月まで塀の中が確定している。つまり、岡村靖幸の2000年代(00~09年)における音楽活動は実質的に終了したことになるわけだが、2000年代に岡村靖幸は一度でも本当の意味で帰ってきたのか?復活を遂げたのか?と考えると、本当の意味での復活は一度も無かったような気がする。結局、覚せい剤を完全にやめない限り、真の復活とは言えないのかもしれない。


2001年のロッキングオンではじめて鹿野さんと岡村靖幸は電話インタビューという形で出会う。この出会いをきっかけに、鹿野さんは―――当時エピックを辞め無所属であった岡村靖幸に対し、いろいろと手助けをするようになる。編集長の権限を駆使しロッキングオン内で岡村靖幸のための連載「やすゆきちゃんの行けるかな?一人旅」なんてのもはじめる。そして遂に、2004年に本格的な復活を遂げる。全国ツアーを行い、シングルをリリースし待望のオリジナルアルバム「Me-imi」をリリース。メディアにも頻繁に露出する。

周りが暗闇だった2001年頃の岡村靖幸の足元を照らし鹿野さんは復活への道しるべとなるための協力を惜しまなかった。だからこそ、鹿野さんは2004年の復活を子供のように喜んでいるのだと思う。そして、2005年に捕まり2007年の再復活の際も自身が編集長を務める音楽雑誌「MUSICA」で岡村靖幸を取り上げサポートした。岡村靖幸ファンにとって鹿野淳とは「ありがたやありがたや」と毎朝念仏を唱えたいほどの御方なのだ。2010年以降の再々復活(があればの話だが)の際はまた協力してくれるのだろうか。良い人そうだから、なんだかんだでしてくれそうだけど。

さて、2004年5月号のインタビューについて。序盤はあまりやる気がなく口数が少ないやすゆきチャン。しかし後半に急変する。援助交際についてなぜ誰も歌わなかったのか?今であれば幼児虐待についてなぜ誰も歌わないのか?についての議論はかなり熱い。激昂している。下手すれば喧嘩になりかねないくらいのやりとりが展開されている。特に「あなたも俺に言ってたじゃん?」と鹿野さんに詰め寄る所はピリピリとした現場の空気が伝わってくるようだ。

そんなヒートアップした岡村靖幸の意見に対し全く怯むことなく「それは違う」と鹿野さんは反論する。ある程度お互い気心が知れた仲だからこその熱いインタビュー(というより対談か?)だ。しかし、よく読んでみると、鹿野さんはなんていうか…上手だな。否定しながらも岡村靖幸を褒めている。「気付いてないかもしれないがあなたの音楽は勇気がいる」とか「音楽の才能を持ってるだけで橋なんて渡れないよ」とか、暗に「あなたは天才なんだから、他の人に自分と同じ行動を求めるのは酷だよ」といったニュアンスを込め、相手を気持ちよくさせながら静めている。最後は「……そうね」「う~ん……」」と諭されているし。

社会問題をなぜ歌にしないのか?―――という岡村・鹿野のやりとりを読めば、人それぞれ十人十色な意見を胸の内に抱くと思うけど、個人的には鹿野さんの言う「メッセージがあまりにもダイレクトだから」が最も相応しい答えだと思う。ダイレクトだと聴き手を限定するし。岡村靖幸は「すべてはつながっているのだから、切り離し、自分のこととして捉えずに考えるのは無知で気狂いだ」と言う(気狂いって放送禁止用語かなあ)。でも、つながってるからこそ、敢えて幼児虐待とか援助交際なんていうダイレクトな言葉を持ち出す必要はないのではないか。だって、つながってるんだからさ。「つながり」を意識した曲といえば、ミスチルの「彩り」を思い出すのだが、結局あーいう歌が、幼児虐待も援助交際も、果ては戦争だって少子化だって地球温暖化だって抑止する効果を持つのかもしれない。

あと、ひとつ気になったのだけど、鹿野さんは知ってたのだろうか、2003年に捕まっていたことを。このインタビューは2004年5月のものなので、今振り返ってみれば前年の2003年には捕まっているわけだ。執行猶予中なわけだ。2003年といえば、「やすゆきチャンの行けるかな?一人旅」の連載中だったから、鹿野さんとは頻繁に会っていたと思われる。知っていても不自然ではない。どうなんだろう。まぁ、知っていたにしろ知らなかったにしろ、岡村ちゃんは後ろめたい窮屈な想いをしながらインタビューに答えていたんだろうな。例えば、このコメントなんかもそうだ。

「何でデフジャムにしたか?それは難しいこと聞いてきたね。どこまでしゃべろうか?………ノーコメントっていうことで」

鹿野さんに突っ込んだ質問をされる度、岡村靖幸は慎重に言葉を選ぶ必要があったのだろう。「どこまでしゃべろうか?」と一呼吸置き、神経質に考える必要があったのだろう…。やるせないねぇ、なんか。
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Comments

初めまして。

「岡村靖幸」で検索をかけ、こちらのブログを発見してから、毎日覗かせていただいております。

今まで岡村ちゃんについて書かれたブログを様々見てきましたが、正直、読みごたえのある記事はほとんど無かったのです。

三度目の逮捕時も、あちらこちらの記事を探して読みまくりましたが、真人間になれ!のような内容が多くて落胆しました。私が読みたかった記事は、そのようなものではなかったからです。

こちらのブログは、岡村ちゃんを過剰に非難することも擁護することもなく、冷静でありながら、岡村ちゃんへの思いが伝わってくる記事ばかりで、とても素敵だと思いました。

記事も読みごたえがありますね。しかも何度も読み返したくなるものばかりです。「ごっつり」の記事は何度読んでも、そのたび笑ってしまいます。

岡村靖幸と出会ってアッという間に20年…こちらのブログを覗くたびに、岡村ちゃんが最もキラキラ輝いていた時代のことを思い出しては胸が熱くなります…。

長々と失礼しました。

いつも読みごたえのある記事をありがとうございます。これからも楽しみにしてます。

Posted at 2008.05.21 (04:21) by 志織 (URL) | [編集]
鹿野さんといえば、2003年、真夏の rock in japan festivalに岡村ちゃんを出演させるという偉業をやってましたね。ずーっとひきこもってた人を夏フェスに出すなんて、まるで鬼コーチみたいで面白かったです。
Posted at 2008.05.21 (18:53) by shallow (URL) | [編集]
●志織さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
岡村ちゃん関連の記事はたくさんあるので、お暇な時にでも読んでもらえれば嬉しいです。

岡村靖幸を過剰に非難しているサイトを読む度に、複雑な気持ちになるので、このブログでは少なくとも読み手に嫌悪感を抱かせるような非難の仕方はしないつもりです。だからと言って過剰な擁護もしないですし、また「ファンだからこそ敢えて厳しくしないと、岡村靖幸が甘えるんだ」みたいな上から目線の批判もしないです。

「なんだわけ天国」に出演した時の岡村ちゃんは面白いですね。あれを見た時は久々に声を出して笑いました。
ファン歴20年とは!凄いですね。僕なんかまだ3~4年なのでまだまだです。



●shallowさん
鹿野さんはたくさんの偉業を達成してますね。確かに、ひきこもりから夏フェスの舞台で歌わせるのはスパルタですね。僕は、鬼コーチというよりも猛獣使いってイメージがありますけど。

Posted at 2008.05.22 (01:21) by yuji (URL) | [編集]
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