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「BLUE A TRIBUTE TO YUTAKA OZAKI」 全曲解説

1. ダンスホール/Cocco ★★★★
「ダンスホール」は尾崎豊がソニーのオーディションの歌審査で歌った曲であり、また生前最後のライブのラストに歌われた曲でもある。尾崎ファンにとっては何かとしみじみとしてしまう1曲。原曲はスローなフォークソングといった感じで、まるで子守唄のように眠たくなる曲調なのだが、Coccoのカバーした「ダンスホール」はややテンポが速くリズミカルになっている。感情をあまり表に出した歌い方ではなく淡々とした〝なごみ系〟なボカリゼーションが印象的。全体的には繊細で清潔で潔白なイメージが漂っている。個人的に心配していた「あたいぐれはじめたのは、ほんの些細なことなの~」という歌詞の〝あたい〟という時代錯誤な一人称もそれほど不自然に響いていなかったので一安心。

2. 僕が僕であるために/Mr.Children ★★★★
「僕が僕であるために勝ち続けなきゃならない 正しいものは何なのか それがこの胸にわかるまで」という歌詞からも分かるように尾崎濃度の高い楽曲だが、見事に原曲の良さを残したままミスチル(もとい桜井)のワールドに持ち込んでいる。ミスチルの新曲としてリリースされたとしてもそれほど違和感が無いのではないかってくらい桜井の声に馴染んでいる。さすがである。
予断だが「僕が僕であるために」というレトリックは他のミュージシャンの歌の歌詞にも頻繁に散見されるが(〝僕〟の部分が〝私〟だったりもするが)、これは尾崎が最初に考えたレトリックなのだろうか。だったら凄いな。

3. 路上のルール/橘いずみ ★★★
尾崎豊と同じプロデューサーのもとからデビューし、女版尾崎豊と称されていた橘いずみ。女版尾崎豊という称号は伊達ではない。女でありながらこれほどまでに尾崎と同類な空気感(誰にも懐かない野良犬チックな空気感)をビシビシと発散させられる人はそうはいないだろう。演奏は原曲とほぼ同じであり、繊細に力強く歌うその端々からは尾崎の影が感じられる。本アルバムの中で最も正当なカバー。

4. 十七歳の地図/175R ★
175R…今なにやってるんだろうねぇ。アクアタイムのボーカルの人とかぶるんだよなぁ……。えっと、星ひとつってのが全てを物語っているかと…。まあ、175Rらしくズンチャズンチャとパンクしているので175Rが好きな人なら気に入るだろう。当たり前か。ちなみに、原曲の「十七歳の地図」は尾崎のファーストアルバムの題名に冠されるほどの名曲。尾崎豊を代表するロックソングである。

5. I LOVE YOU/宇多田ヒカル ★★★★★
「揺れてるなぁ~」の一言に尽きる。ビブラートでガンガン攻めまくっている。「I LOVE YOU」をカバーしたミュージシャンはたくさんいるが、これほどまでに「揺らした人」はいないだろう。それにしても揺れすぎだ。ずーっと揺れてるもの。この揺れの原因は、ライブ音源だからだと思われる。宇多田が十代の頃にライブで「I LOVE YOU」をカバーした時のテイクをそのまま使用しているらしい。この人はライブだと歌声が安定しないらしいから、こんなに震えているのだろう。でもこの何かにひどく怯えているかのように消え入りそうに神経質な感じが「I LOVE YOU」の世界観と絶妙にシンクロしている。文句無く五つ星。

6. 太陽の破片/岡村靖幸 ★★★★★
尾崎豊を語る上で最重要曲は何だろうか?と尾崎ファンが考えた時、かなり早い段階で挙がるであろう名曲「太陽の破片」。尾崎豊が覚せい剤取締法違反で捕まった後に、リリースされた曲であり、故に歌詞の内容は、薬物を使用し絶望の縁で苦悩する姿が歌われている。そんな曰くつきの曲をあの岡村靖幸がカバー。なんて意味深なんだろう。この頃の岡村靖幸は既に薬物を使用し、一度捕まっているわけだが、世間には公表されていなかった。全ての事実関係が明るみに出た現在、岡村靖幸が歌う「太陽の破片」を聴くと何とも言い難い心持になる。

肝心の岡村版「太陽の破片」だが―――まあ、あの岡村靖幸がカバーするわけだから一筋縄でいかないのは前段階で予想がある程度つくものの、まさかここまで変形させるとは思わなかった。原曲のメロディーを完璧に無視し岡村流にメロディメイクしている。もちろん基本的なコードは同じだが、同じコードの中で新たに作曲している。

サウンド面は同じアルバムに収録されている音とは思えないほど異質にクリアだ。どこか気品に満ちていて、その上刹那的な哀愁に満ちている。確固たる世界観が構築されており、他とは明らかに格(あるいは質)が違うということが明確にはっきりとわかるだろう。そんな洗練された演奏に乗せ岡村ちゃん節炸裂なクセのある歌い方でくどく歌っている。岡村靖幸を日々聴いている自分からすると別に何の違和感も無いが、岡村未経験者の尾崎ファンからするとこれは相当〝眉唾〟ものらしく結構バッシングされているようだが、…まあ仕方が無い。

「もし君が暗闇に」というフレーズを「もしぃ~、もっもっもし、君が暗闇に~」と歌ったり「ごらん僕を太陽の破片が~」というフレーズを「(吐息交じりで)ごらんごらん僕を太陽の破片が」と変態っぽく歌ったりと、確かにふざけているように聴こえるかもしれない。尾崎ファンには硬派な人(特に往年のファンには)が少なからず存在するので、カチンと来た人も中にはいたかもしれないが、「決して靖幸クンはふざけてません。いたって真面目なんです」と岡村ファンとしては言っておきたい。

7. LOVE WAY /大森洋平 ★★
割と原曲に忠実に歌っている。可もなく不可もなくといったところ。「LOVE WAY」はシングルでリリースされたしオリコンでも上位に(確か2位)にランクインした曲だけど、この曲をカバーするくらいなら、他にもっとカバーするべき曲があっただろう。それにしても大森洋平って誰だ?

8. 街路樹 /山口晶 ★★★
ギターとハーモニカをバックにシンプルに歌っている。なんか朴訥な青年が町内会の寄り合いで歌っている、みたいな素朴なイメージがあるのだが、最後の方にはバンドサウンドが加わりオーケストラのように壮大になっている。山口晶…この人も知らないな。

9. OH MY LITTLE GIRL/竹内めぐみ ★★★
完璧に100パーセント男目線の曲を女性が歌うというのも悪くない。原田知世や古内東子あたりと似たような感じがハートウォーミングで良い。一瞬竹内まりやと見間違えった人もきっと多いはず。〝まりや〟ではなく〝めぐみ〟である。誰だ?知らないな。

10. 闇の告白/斉藤和義 ★★★★
尾崎豊は晩年(といっても24~26歳のころ)に救いようのない暗い曲を何曲か制作しているのだが、「闇の告白」もそのうちの一つ。ギター一本で原曲通り暗~く弾き語っている。斉藤和義らしいというか、この曲をちゃんと理解したうえでカバーしている様子が伺える。それにしても暗いなぁ。この歌も斉藤さんも。

11. Forget-me-not/槇原敬之 ★★★★
尾崎豊の名バラードといえば「I LOVE YOU」だが、尾崎ファンの間では「Forget-me-not」のほうが実は高く評価されている(一概には言えないけど)。まさに隠れた名曲。原曲では尾崎の感情がこもりまくった熱い歌唱法(叫びに近い)が披露されており、その熱さが「Forget-me-not」の良いところなのだが、マッキーはもちろん叫んだりしない。ハイトーンの細い声でナイーブに歌っている。これはこれでアリだ。原曲の良さを損なわない程度に自分の色を取り混ぜているところはさすがである。

12. 15の夜 /Crouching Boys ★
尾崎豊の一人息子・裕哉(ひろや)と尾崎豊の元プロデューサーであり本アルバムのプロデューサーでもある須藤の息子・トミーヨの二人が組んだユニット。トミーヨが適当に作った音楽に乗せニューヨーク育ちの尾崎裕哉が流暢な英語で朗読している。尾崎の息子の声が聴けるという一点においてのみ聴く価値があるだろう。


総評★★★★
2004年にリリースされた尾崎豊のトリビュートアルバム「BLUE ~‎A TRIBUTE TO YUTAKA OZAKI」。とにかく参加アーティストの面々が豪華だ。超メジャーな宇多田にミスチルにマッキー。実力派の燻し銀系として岡村靖幸、斉藤和義、Coccoが参加している。もちろんオリコン1位を獲得。CD不況時代な上、レーベルゲートCD2仕様にも関わらず50万枚以上のセールスを誇り、トリビュートアルバム史上第2位の売り上げを記録(ちなみに1位はhideのトリビュート)。

これほど豪華な面々なのに若干名ほどあまり有名ではないミュージシャンがいる。せっかくなら、全員豪華なメンバーにして欲しかった。尾崎豊のトリビュートに参加したいミュージシャンは他にも掃いて捨てるほど居ただろうに。GREEN版の予算を回せば余裕で実現可能だったと思うのだが。

尾崎豊という人は十代の教祖やらカリスマやら、何かと世間から色眼鏡で見られ、楽曲にいたっても「盗んだバイクで走りだす」やら「窓ガラス壊してまわった」に代表されるような過激な部分(あるいはネタにして貶しやすい部分)に過度に注目されがちだが、実はとても優秀なメロディーメーカーであった。こうやってトリビュートという形でカバーされた尾崎の楽曲を聴くことで「作曲家・尾崎豊」の有能ぶりがありありと見えてくる。

本アルバムは各人がそれぞれ尾崎の歌をカバーしたものだから、アルバム全体に〝流れ〟のようなものは基本的には無いが、宇多田の「I LOVE YOU」から岡村靖幸の「太陽の破片」の2曲の流れは、かなり秀逸。ぐっとくるものを感じずにはいられない。

ちなみにこのアルバムは現在、レーベルゲートCD2が廃止されたため、PCなどに取り込める仕様で売られている。なのでこれから購入する人は、レーベルゲートCD2なのか否かをきちんと確かめたほうがいいだろう。

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Comments

このアルバムだと・・
マッキーが一番好きです。忠実に、かつご自身の表現をと取り入れてると感じます。
太陽・・は流石ですね!天国で尾崎氏が苦笑してるのでしょうか?でも、なんだか切なくて岡村ちゃんがどんな気持ちで歌ったのかなあ、なんて思ってしまいました。
Posted at 2008.07.09 (13:59) by daisy (URL) | [編集]
No title
尾崎が聞いたら、どうなんでしょうね~。苦笑か爆笑か、いずれにしても笑うと思います。太陽の破片のカバーを須藤さんからオファーされた時は、さすがの岡村ちゃんも感慨深かったでしょうね。
Posted at 2008.07.09 (23:08) by yuji (URL) | [編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Posted at 2010.11.13 (05:05) by () | [編集]
Re: これをきっかけに
はじめまして。コメントありがとうございます。尾崎の歌声は暑苦しいというか、少々くどい歌い方なのでトリビュートのほうが聴きやすいかもしれませんね。

Cocco版ダンスホールは確かに良いですね。僕もトリビュートのなかで一番好きですよ。

ちなみに、尾崎版のオリジナルの「ダンスホール」はいまひとつですが、尾崎がラストライブで弾き語りで歌った「ダンスホール」は最高です!

http://www.youtube.com/watch?v=gwhlnhJm8Ng
Posted at 2010.11.21 (21:33) by yuji (URL) | [編集]
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