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スピリチュアル・メッセージ どんなことして欲しいの、僕に(後半)

ナチュラルな高校時代と正反対のドロッとした中学時代

 太宰府から新潟に移って、中一でまた関西に行った。その街は大阪と神戸の間あたりで“閑静な住宅地”って言われる前ですけどね。その頃の友人が気に入った友達全員に野球の入場券を配ったりしてた(笑)。だから友達みんなで近鉄戦や阪急戦を見に行ったりね。

 メチャクチャに勉強するヤツと校内暴力で荒れまくってるヤツと大きく二つに分かれてたな。先生がまた怖い。学校の椅子って鉄でできてるでしょ? 椅子の足の間に補強するために二本の鉄棒が渡してあるんだけど、それをポキンと先生が折って(笑)、で、ポンとか生徒を殴ったりする。上履き、外履きがどうのとかいうぐらいで殴ったりしてた。そんな感じだから、校内暴力もすごいし。そういえば、この頃はTVで校内暴力って取り沙汰されないなぁ?なんで社会問題にならないのかな? 僕は、どっちかといえば、勉強するほうだった。あと、音楽が好きになり始めたのもその頃です。「ザ・ベストテン」という非常に象徴的な番組があったんで、僕らの世代の音楽体験はだいたい似通ったところがある。サザン、ツイスト、ゴダイゴ、山口百恵にピンクレディー、みたいな感じで。「ザ・ベストテン」でなければ「ベストヒット・USA」ですね。関西は東京と放送日がズレてたと思うけど・・・・・・。で、音楽じゃなければ、お笑い。関西はほんとにお笑い番組が多い。僕はけっこう転々としながら関西に戻ったって感じでしょ? だから距離をおいて関西を見ると、ボケとツッコミが日常に存在してるんですよね。面白くてナンボっていうか、笑えるヤツは才能あるヤツって価値基準がある。学校でも面白いヤツはスターだった。俺も、家でギャグ練ってきたりしたこともあった(笑)。他の県や街にはなかったし、だってラーメン屋さんに入ってもそこでボケとツッコミが展開されてるんだもん。だから大阪の人はお笑いに厳しい。初めは僕も馴れなかったけど、でも一カ月もしたら、いちばん使う言葉が「しょうもな」になってましたね。多感期にふさわしい場所だったと思ってますよ。

 それで高校受験の時にまた新潟に戻って、高校に入学した。高校は何かナチュラルだったな。高校と中学じゃ、ぜんぜん違った。中学というのはなんだかんだいってもその前は小学生っていうか(笑)、すごくドロッとしてる。青春の側面として爽やかな面があるとしたら、その正反対にドロッとした面がある。なんでドロッとしちゃうかというと、まず未完成だから。哲学もなければ、思考力もなければ、心理学もわからなければ、何かをする術もない。他者の介在の仕方というのがクリアじゃないんだな。だからどうしてもトゥー・マッチになってドロッとする。高校ではもっとさばけてくるというか、友達関係もある程度、距離を保ったものになっていく気がするな。

 高校では、中学からやっていたバスケットボールに俄然燃え始めてね。坊主にさせられて、朝は学校が始まる前から夜は八時くらいまで練習に明け暮れてた。日曜日も休みなしだし、夏休みには合宿があって、もう生活のほとんど全部がバスケットだった。でも僕らのチームはあんまり強くなかったんです。オリンピックの試合を観てるとよくわかるけど、結局、技術とか練習量じゃかなわないスポーツはあって、バスケットやバレーボールはその部類に入るんじゃない? うちのチーム、僕以外は背が低かったりしたんで、なかなか勝てなかったんですけれどもね。

 そのバスケットも高三になると受験・就職ってことで終わる。ほとんどの生徒はそのどちらかに分かれてそれなりのことをやるんですが、僕はどっちも選ばなかったんです。まず大学というものに必要性を感じなかった。勉強に対する初歩的な疑問ってあるでしょう? サイン・コサイン・タンジェントが生活にどんな影響を及ぼすんだ? とか、化学記号が俺の人生にどう役立つんだとか、そんな疑問をけっこう前から持っていた。じゃあ就職か? っていったら、何をやりたいのか見つからなくて、結局どっちつかずだったんですね。で、高三の時に一年間はとてつもなく時間があって、それで初めて音楽を一生懸命聴いたし、ギターも弾くようになった。最初はレコードを聴いて、合わせて歌ったりして、当時好きだったのがビートルズ、スティーヴィー・ワンダーやポール・マッカートニーだった。クレジットを見るとスティーヴィー・ワンダーなんかは歌・演奏・アレンジ全部を一人でやってる。好きなものは真似したくなるのは当然だから、僕もマルチ・レコーディングというものをしてみようと思って、4チャンネルのレコーディング・マシーンを買った。


想像のつかない、常にスリリングな状態で音楽を作っていきたい

 
 高校を卒業する前に、普通の人が大学を出る二十二歳まではいろんなことをしようと決めたんです。で、二十二で“これだ!”と思った職業に就こうと・・・・・・。まず、手始めにいちばん可能性の低いものから挑戦しようと思った。ミュージシャン、小説家、役者というものは何か夢っぽくて可能性が低そうでしょ? だから高三の時に作ったテープをEPICソニーとかに送ったりして、その後東京に来てまずやったことが“曲を作る”ことだったんです。たまたま「一曲書いてみないか?」と言われて書いてみたのが、渡辺美里さんの「GROWIN’UP」になって・・・・・・それがシングルになったら、いろいろなところから曲を書いてみないかという話があったり、事務所に入ってみないかデビューしてみないか? って話まであって、“俺、なんでこんなにうまくいくんだろう?”と思いつつ、リアリティーがないままデビューまでいってしまった。曲を書いてる時なんて、完全にバイト気分ですよ。だってリアリティーがぜんぜんないんだもん。

 初めは吉祥寺に住んでいたんですけど、パルコへ行くと地下が本屋さんだから、いろんな本を読んでみたりしてた。やっぱり東京へ出てきて一人だと不安でしょう? で、不安に応えてくれる人はいないし、そうなると本に頼りますよね。僕はいわゆる名作と呼ばれているものに弱い(笑)。レコード選びもそうだけど、名作だと言われてる作品はすぐ買ってしまう。

 結局、音楽の仕事を一生懸命やっていたわけではないし、プロになろうとして練習をたくさん積んだわけでもないから、その頃の自分には全くリアリティーがなかった、東京の街と同じくらいに・・・・・・。音楽をやろうと決めてから実現するまでが、すごく短かった。デビューしてすぐに、いまはもうあまりやらなくなっちゃったけど、夏のイヴェントの数がものすごかった。バンド・ブームと言われる少し前かな? バンドがたくさんいて、僕も一緒になって全国を回るわけです。僕は新人だから一番手かその次ぐらいでね、ウケないし、ワーッとも言ってくれない。なんでファンでもないコの前で歌ってんだろう? って思って辛かったな。

 そう、六年も経っちゃったんですね。インタヴューを受けなくなってから、時代の流れがうまくわからなくなってきた。“いまはこんなのが流行っているんだよ”とかって話もしなくなったから、時間がゆっくり流れているんだか早く流れているんだか、解らなくなってきた。活動しているうちに歌謡曲というものがなくなったり、いろんな人たちがいなくなったりしているのは解ってるんですけどね。・・・・・・。

 インタヴューを受けなくなったのは、冗談抜きで高倉健の映画なんです。『あ・うん』でも何でも観て思うのは、その映画のなかに存在する人でいちばんカッコいい人は高倉健でね、高倉健が三番目にカッコいいってことはあり得ない。そういうのばっかり観てると影響されますよ。それがいちばんいいことだと思って。
 いまありがたいことに、僕が何も言わなくてもいろいろな人がいろいろなことを書いてくれるし、いろんなふうに思っていてくれるのがいいかなと思って。

 インタヴューを受けて“こう思ってくれ、俺の音楽をこう感じてくれ”みたいに言うことで、スリリングさが一つ減るんです。一つ、商売っ気が出るんです。商売っ気というのはもちろん大事だけれども、商売っ気だけで音楽は存在しないと、僕は思う。歌謡曲がなくなったのは作り手も受け手も敏感になったからかもしれないしね。僕は自分の音楽に関しては常にスリリングでいたい。

 たとえば一年間ぐらい毎月インタヴューを受けたとして、レコードを出した時やライヴをした時どういうことを書かれるのかは、だいたい想像がつきますよ。だけど三年間も全くインタヴューを受けないでいると、どんなふうに書かれるかは全く想像がつかない。でも、そのぶんスリリングだし、たとえ火花が飛んでもそういう感じが僕は好きだな。音楽の仕事をやっていく上でそれがいちばん正しいことだとは言わないけれども、少なくとも僕はそうやるのが好きなんです。

 音楽の聴き方の深さというか・・・・・・もっと深く追求してくれる人がたくさんいると嬉しいなといつも思う。音楽を文章にするのって、むずかしいことじゃないですか? どういうふうに感じたかをちゃんと書くのって。すると“逃げ”ではないと思うけれど、歌詞のことを書くのが決まりみたいになってしまう。
 宮沢賢治の作品に『注文の多い料理店』というのがあって、それに対して“面白い童話だ”って思う人もいれば、“完璧な社会風刺だ”と言う人もいれば、“非常にシュールだ”と思う人もいる。読む人によって物語のとらえ方も深さも変わってくると思うけど、そんな多面的な文章がないのは少し残念に思いますね。高倉健も俳優としてやっている時以外、何をしているのかさっぱり解らないけど、でもかえってそれが誠実に見えるでしょう? 偉そうだとは思わないでしょう? 頑固さが誠実さに感じられる時ってあるんですよ。


岡村靖幸‘92全国ツアー・スケジュール

11/27(金)名古屋市民会館
問:サンデーフォーク 052-(320)9100
12/4(金)仙台サンプラザホール
問:キョードー東北 022-(223)2188
12/6(日)大阪フェスティバルホール
問:キョードー大阪 06(345)2500
12/8(火)福岡サンパレス
問:B.E.A.092(712)4221
12/11(金)広島アステールプラザ(大ホール)
問:キャンディープロモーション 082(249)8334
12/16(木)北海道厚生年金会館
問:ユアソング 011(242)2200
12/26(土)、27(日)NKホール
問:フィリップサイド 03(3770)8899

注意:ツアー・スケジュールに記載されている公共施設名称、また問い合わせ先は当時の記事のまま記載しております。現在の名称・問い合わせ先ではございません。連絡等は一切ご遠慮下さい。


文字起こし人:紅林




自身の幼少期の思い出から始まり、中学、高校、デビューまでの経緯を詳細に語った「スピリチュアル・メッセージ どんなことして欲しいの、ぼくに」。以前アップした「ロッキングオンジャパン 1989年9月号」の2万字インタビューと内容が被っている部分が多いが、月カドとロキノンだと随分印象が違いますね。ロキノンは文章が軽いけど、月カドは重量感がある。読み応えがあるのは嬉しいが、ちょっと読んでいて疲れるのが難点だな。以下、読んでいて気になった部分の感想。

自分で異常に好きだったのは作文。(中略)十分くらいでバーッと原稿用紙三枚は書けた。

岡村靖幸ってこのタイプだったのか。小学生の頃、クラスに必ず一人はいましたよね。異様に作文書くのが速いやつ。7~8分置きくらいに新しい原稿用紙を貰いに先生のところに行く奴。それにしても、岡村ちゃん、十分で原稿用紙3枚はさすがに速すぎじゃないか?すげーな。作文が好きっだったということは、自己顕示欲というか、自分の思っていることとか、感じていることを知ってもらいたいという衝動が強い子供だったのだろうか?その作文で「いちばんかわいそうなのは、難民の子供だ。もしも生まれてきても食べさせられないとか、ろくなことがしてあげられない状況であるなら、エッチをするのはやめてあげるべきだ」と真面目に書いて笑われているわけでしょ。これって、岡村靖幸の書く歌詞と通じる部分があるような気がする。一見エロかったり、意味不明だったり、軟派な歌詞が多いけど、岡村靖幸はそれらをふざけて書いているのではなく、本人は真面目だ。でも笑われる。自分の感じたことをそのまま正直にぶつけると笑われる。「岡村は大ボケだ」と言われる。昔から全然変わっていないじゃないか。


“俺、なんでこんなにうまくいくんだろう?”と思いつつ、リアリティーがないままデビューまでいってしまった。

ロキノンの2万字インタビューでは「小学校、中学校の頃からプロ目指してて、ライヴ・ハウスで『オーゲーっ!!』とかってガンガンやってる人もいるわけだしね。片や音楽学校行って、音楽的なこと完璧でさ、かつ才能ありまくり、みたいな人もいるわけじゃない、年に何千人も東京の音楽学校に来るわけなんだからさ。そしたらさ、そんなのに勝てるなんて絶対思うわけないじゃん、普通」と話していたように、まさか自分がミュージシャンになれるとは到底思っていなかったようだ。そりゃリアリティは感じないだろうな。でも、実際問題としてミュージシャンになれた。しかも周りからは天才と言われた。、同業者からの支持も多かった。これって、凄いプレッシャーなのではないだろうか?軽い気持ちでデモテープを送っだけの青年が、あれよあれよという間にミュージシャンになってしまったのだから。そんな簡単にプロになれた岡村ちゃんは羨ましくもあるが、可哀想でもある。それ故に、「不安に応えてくれる人がいないから代わりに本に頼る」とか「名作といわれる作品はすぐ買ってしまう」とか、自分の中に知識や肥やしを放り込んでどうにかして自分を一人前に形成しようとしていたのだろうな。
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